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日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物


26 京都の暑い夏2007ドキュメント Vol.1


                 叫ぶ!!相原マユコ

                                     レポーター:大藪もも

Company Class E-2 5月1日(火)〜3日(木) 13:30〜15:30 全3回
[概要] リリースなどのテクニックをベースに身体の各部位に注目したカンパニーレッスンの後、j.a.m.作品のシーンを共に体験しながら表現体としての身体意識を高め自分の体の可能性を探る。Come with us!!




 
  j.a.m. Dance Theatre(大阪)[振付家:相原マユコ ダンサー:森井淳 久万田はるみ 今田葉子]今を生きている自分の感覚を大切に、観客をはじめ、そこに関わるもののイマジネーションをかき立てる作品作りを目指す。'02年、近畿大学文芸学部演劇・芸能専攻卒業生と美術を手がけるスエモトタモツらで結成。「横浜ダンスコレクション・ソロ×デュオコンペティション」「ネクスト・ネクスト4」「KAVC チャレンジシアター」「dB Physical Arts Festival 大阪BABA」等、関西、東京、横浜などで数々の作品を発表。’05年度よりアイホール「Take a chance project」(主催:伊丹市・(財)伊丹市文化振興財団)に選出され、新作公演の機会を与えられる。この他国内の活動にとどまらず、韓国、ポルトガルでのダンスフェスティバルにも招聘され、活動の幅を広げている。http://www.jamdt.com/(提供:京都の暑い夏/photo:イトウユウヤ)
 
 実はWSに参加していながらj.a.m. Dance Theatre(以下j.a.m.)の公演を観たことがなかったんです。じゃあ、なんで受けたのと聞かれたら、「森井淳さんがいたから」としか言いようがないです。確か去年の暑い夏のクルト・コーゲルのWSで見かけて以来、ああーこんなコンテンポラリー・ダンサーもいるんだなと思って気になっていたもんで。
 なんとも阿呆な話ですが、その頃の私にとってコンテンポラリーの男性ダンサーのイメージは、細くて、白くて、長い感じだったのでした。だから淳さんのレゲエ兄ちゃん的風体は私にとってはちょっとした衝撃でした。
 あれから一年、暑い夏のパンフに淳さんの名前を見つけてj.a.m.というカンパニーのダンサーであることを知り、「相原マユコ」という人が振付をしているということを知りました。そして相原さんには、j.a.m.のWSより先に開かれていたテッド・ストファーのWSで受講者の一人として出会ったのであります。
 相原さんの最初の印象は、理知的できれいなお姉さんという感じでした。ごめんなさい、もう過去形です。WSを受けるとただの理知的できれいなお姉さんではないことがわかってしまいました。

 WSの内容は、カンパニーで普段行っているウォーム・アップと、今年3月にアイホールでの公演を終えたばかりの『フィカスと虫、フィカスとロコモス、』の一部振り写しでした。クラスは基本的に淳さんがリードして、他のj.a.m.のダンサーさん3人がフロアのあちらこちらにいてくれているので、わからないことがあればいつでも気軽につかまえて聞くことができました。講師が一人だとなかなかこうはいかないので、これはj.a.m.のお得ポイントかと思います。
 WSのはじめには毎回必ず、腹筋が待っています。全員でうへうへ言いながら腹筋すると、しんどいのに笑えてきて気持ち悪いです。アップにはフロア・ワークがあったり、腕を複雑に動かして移動していくようなワークがあったり、なんていうんだろう、色んなプリエを8カウントでやったりしました。
 三日間とも違うワークで、動きそのものも面白かったのですが、それにもまして淳さんのノリが面白かった。相原さんがカンパニーの紹介で「うちはラーメン屋のノリなんで」と言っていたけど、まさにそんな感じでみんなテンションが高くて、体育会系のノリで攻めてくる。なかでも淳さんはアメリカのテレビ通販番組の人みたいなノリで、妙に胡散臭いと感じたのは私だけでしょうか。決して悪い意味じゃないですよ、密かに楽しんでいました。

 相原さんはちょうどWS開始前日に腰を痛めたそうで、あまり動けなくて申し訳ないと初日に挨拶したはりました。二日目以降はコルセットをはめていたけど、テンションがあがってくると動かずにはいられないようでした。他のメンバーさんが心配そうに見守るのもかまわず動きまくったはったけど、大丈夫だったんでしょうか。それでも思う存分動くことができないせいか、それともあれが普通なのか、相原さんは叫びまくっていました。
 この“相原さんの叫び”がWSのなかで何より印象的でした。相原さんは振り写しを始めると、振付家としての魂が揺すぶられるのか、表現、特に感情表現の細かいディテールに関して、絶叫していました。そんな相原さんを心の底で、カップ酒を持って競馬中継に絶叫するおっさんみたいやと思ってしまいました。でも、相原さんの叫びには “ここはこうあって欲しいねん!!” というすごく熱いメッセージがあって、それはもう指示ではなく、思いのたけをぶつけるといった感じでした。このパンチの効いたメッセージに応えないわけにはいかないでしょう。“あなたの思いはわかった、受けて立ったろう”という気に私はさせられたのですが、皆さんいかがでしたか。この辺りは人それぞれであり、j.a.m.のWSを楽しめるどうかの鍵になるかもしれないなと思うところでした。

*編集部おわび:j.a.m. Dance Theaterのクラスは写真を準備することができませんでした。

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