日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物 |
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23 空腹の技法 その4 contact Gonzo
<<これからは接触!アートがやりたかったわけではないんです。>>
+contact Gonzo 名義で活動を始めたきっかけを教えてください。
塚原 :直接のきっかけは、垣尾さんから「コンタクト・インプロ(コンタクト・インプロヴィゼーションのこと)をしないか」という誘いをメールでもらったことです。それで、8ヶ月くらい前に扇町公園で夜中に始めました。
昼の扇町公園の映像リンク:その1、その2、その3、その4、また、初期のものはだいぶ動きが違います。
お互い一緒にするのは初めてだし、特に俺はダンサーと違う。垣尾さんが行っていたワークショップでやったことを、俺らなりにアレンジするかたちでともかくやってみました。そのうちに飽きたというか、垣尾さんがロシアの格闘技で システマというのがあると言ってきて、俺は You Tubeとかで、垣尾さんは雑誌とかで調べ出したら、それは格闘技というより、人が接触する事でもう少し内面の気持ち…というか平常心…でもないんだけど、内面処理に着目しているちょっと不思議なものだったんですね。じゃあやってみようって感じで取り入れたりしました。
+ダンサーとしての垣尾さんのキャリアの中で、なぜコンタクト・インプロヴィゼーションに対する関心が出て来たのですか?
垣尾:何年か前から、体の使い方という意味で武術にすごく興味があって、その関心の延長で、「これからは接触や!」と思ったことがあったんです。1年半くらい前かな。それで、何か面白いやり方はないかなと探していて、その頃は太極拳のスイシュとかがあるのを知っていて、そういうのやりたいなと思っていたんだけれども、人の心当たりもなく。それで、コンタクト・インプロというものがあるなと思い当たりました。スティーヴ・パクストンのことが載っている 『コンタクト・インプロヴィゼーション』 という本があるでしょう?それを読んで、いいなと思っていたことがあったので。でも、う〜ん…それまでに見たコンタクト・インプロは自分がやれる気がしなかったな。なんでか知らないけど。それでいろいろ試してみようと思ったんです。
+ダンサー経験のない七九式さんを誘われたのはどうしてですか?
垣尾:塚原くんとは、3年前の 「泉北アートプロジェクト」*のときに知り合ったんです。
*2004年11から2005年3月にかけて、和泉市久保惣記念美術館やその周辺の様々な空間-泉北高速鉄道の動く電車の内部や、2頭の羊が住まう公園など-を利用して行われたアート・プロジェクト。垣尾さんは、<ダンス・ドキュメント・プロジェクト>「公園」で参加。
塚原:僕はそのとき制作スタッフで、垣尾さんが落ち葉をキャッチしたり、坂を転げ落ちたり、高鬼ごっこをしたりしていたんですけれど、それをコーディネートしながら映像でも追っかけたりしていたんです。そうやって 3、4ヶ月、泉北の公園に通っている間にいろんな話しをして -例えばスケボーの話とか、どんな映像が好きかとか-、そのときにお互いを知り合えました。
垣尾:そのとき僕は、公園ダンスの企画だけで終わるんじゃなくて、これはまた一緒に何かできるなと思って、以来、何をしたらいいかっていうことは頭の片隅にあったんですね。それで、自分らのコンタクト・インプロを探してみようと誘いました。
+そのときに、他のダンサーも一緒に誘うという可能性はあったのでしょうか?普通のダンスとは違う何かという意識があるかとは思うのですが。
垣尾:…なかったですね。わかり合える人ということと、彼と何かしたいな、できるなという事が先にあって、別にダンスをしようと思ったわけじゃなかったので。というとダンスが何かという話になってしまいがちなんですけれど…それを問う以前に、特にダンスとして意識せずに始めたんです。それに、僕はダンス作品をつくるときも、ダンサーばかりじゃなくて、友達を連れて来たりすることもあるので、何かをするときにダンサーか否かということはあまり問題にならないですね。
+やりたいことをやるときに、枠組みを取り払うという意識もなにもないということですね。では、始めてみて面白かったところ。面白さを感じて、発展させてみたところなどはありますか?
塚原:「泉北アートプロジェクト」で言えば、あんまりアートが何かと考えずに自由にできたところ。いちおう全体としては、アートと呼ばれる文脈の中でやった活動ではあったんだけれど、ぶっちゃけ、そこでやっているのは落ち葉を延々キャッチするとかそういったことだったんです。「これが何がアートやねん」って言ったらおしまいなんですが、結構それを真剣にやると面白い。そういった視点で、あんまりがちがちにならずにすんだことです。
垣尾:あと、その企画では人とかかわり合うというか、そこらへんにいる人に話しかけて、「一緒に落ち葉をキャッチしましょうよ」とか、そういったことをやっていたんですけれど、それが2人とも楽しかったです。その関わるっていうことが。
塚原:今もつながっているスタンスとしては、「アーティストです」、「特殊なことをしています」という姿勢よりは、普通の生活者として、僕も(作品制作じゃなく) ほかの仕事で生活しているわけだし、同じ目線で関われるんじゃないかなという点ですね。contact Gonzoも見た目ははでだけど、気持ちとしては横で見ている人とそんなに変わらないところでやっているという、説明しにくいんだけど、そういう視点かなあ。
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