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日々是ダンス。踊る心と体から無節操に→をのばした読み物
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+ dance+編集委員会
dance+とは
ダンスを楽しむ研究サークル。情報編集のほか、ドキュメント、ビデオ鑑賞会などをとおして、ダンスと地域、ダンスと生活をつなぎます。

- 古後奈緒子(メガネ)
窓口担当。守備範囲は前後100年ほど。
- 森本万紀子
エンタメ担当。
- 森本アリ
音楽家/ガラス職人/グラフィックデザイナー/DJ/家具職人/映画助監督/大家/自治会会長/NPOスタッフなど。
- 神澤真理 NEW!
日常の中にある「おもしろそう」を発掘中。

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20 覗き穴から誘うBaby-Q

東野祥子が見つめる世界と写真家に見つめられる東野祥子+Baby-Qの世界
編集:メガネ/協力:Baby-Q Lab.

あなたのその目で目撃して下さい
BABY-Qが、待望の新作をひっさげ、一年ぶりに大阪へ戻ってきます。
log-osakaが、コア・メンバーの 東野祥子さんにPEOPLE欄でインタビューをさせていただいたのが、一年半前。この急激に進化を遂げる巨大な怪物の「その後」、そして「今」をたくさんの方に目撃していただくため、今回dance+は、Baby-Q Lab.の協力を得て、新作[GEEEEEK]の”チラ見”を企画させていただきました。題して、「覗き穴から誘うBaby-Q」。ご覧いただくのは、東京でのショートバージョンの公開を経て世界初演を迎える[GEEEEEK]フルバージョンの断片のみならず、それを見つめるBaby-Qの視線、さらにBaby-Qを見つめてきた写真家の視線です。この視線の折り重なりの中で紡ぎだされるBaby-Qの世界を、あなたの視線を重ねてもっと豊かにするため、ぜひ劇場に足をお運びください。
 

 
 

 
[GEEEEEK]フライヤー designed by 山本泰輔 Daisuke Yamamoto


Baby-Qをまだ知らないあなたへ
Baby-Qは、舞台芸術をはじめ、アンダーグラウンドカルチャーからミュージックシーンまであらゆるジャンルを包括し、アヴァンポップな活動を展開するダンス/パフォーマンスのカンパニーです。大阪で東野祥子を中心に活動を始めてより、超絶技巧で繰り広げられるダイナミックなパフォーマンスで注目を集め、2004年にはトヨタ・コレオグラフィー・アワードを受賞。2005年6月に大阪・千日前の「味園ビル」から東京・高円寺の「BABY-Q Dance Lab.」に活動拠点を移し、NY・フランス・イタリア・シンガポールなどのダンスフェスティバルにも招聘されるなど、世界に活動の場を広げています。ダンスを観たこともなければこれからも観るかどうか危うい、、、という方にこそ体験していただきたいとHEP HALLが企画するダンス公演シリーズ、dance expressionに、まさに適任のカンパニーなのです。


 
 
 
新作[GEEEEEK]のみどころは?
その1:Baby-Q独特の世界観
今回の作品のタイトルは、その名もGEEEEEK。奇人・異人・見世物師・オタクなど、とんでもない人間をあらわす[GEEK]のスペルにEを3つ足して叫んでいるように響くこのことば。異形的な存在や身体が、オブジェや音・光の中でどのように共鳴し、その歪の中から何を醸しだすか?少し凶暴的な一方で、その中に潜む優しさ・愛おしさ・美しさをBABY-Qの世界観で描きだします。
「ものがあふれ過ぎて、感覚が鈍っていく現代社会の中で果たして最後に残るものとは何か?」そういう問いかけを発信しながら、「嘘のような現実」「現実を装う嘘」表裏一体の事象を赤裸々に暴いていきます。

その2:多彩なアーティストのコラボレーション
今回の作品でもジャンルを超越した様々なアーティストが渾然一体となり作品を創造しています。音楽に、NYのエレクロトニックミュージックシーンで活躍する<Raz Mesinai>や、暴力温泉芸者、ヘア・スタイリスティックス名義で日本のミュージックシーンを震撼させ、最近では映画評論や執筆活動でその文才を発揮し第14回三島由紀夫賞、第59回野間文芸新人賞を受賞した<中原昌也>。美術に、ラジオコントロール型対戦ロボットDESTROYED ROBOT製作者の<野津哉美>と機能美に優れたメディカル系の様々なアイテムから舞台美術を生み出す<Subterraneans>。映像に、大阪のクラブシーンでVJとして活躍し、これまでもBABY-Qの作品にも多数参加している<ROKAPENIS>。これらの面々を迎え、様々な要素がシンクロする中で、どの切り口からも楽しむことの出来る普遍的な作品を生みだしていきます。
 

 
more info...http://geeeeek.baby-q.org/


「GEEEEEK」ショートバージョン上演時のレビュー≪抜粋≫
朝日新聞 2006年10月23日(月)<芸能面>
「個性と想像力、くっきりと」著:石井達朗(舞踊批評家)
東野が彼女のカンパニーBABY-Qほかのパフォーマーに振り付けた「GEEEEEK」は、暗転を多用しながら身体の「異形」「奇形」としてくくってしまう領域を扱った異色の作品。かつての見世物小屋風のいかがわしさを、硬質で現代的なパフォーマンスの文脈に浮かび上がらせる。よく踊れる東野が、踊りに拘らない作品作りをしたことが功を奏し、オリジナルな「怪作」が誕生した。


 
  photo by JOHN HARTE
 


 
  photo by山本泰輔 Daisuke Yamamoto
 
[GEEEEEK](作品ノートより)Text:東野祥子

愛の乞食と感情の商人、その家畜たち————\r

少々凶暴な世界。
今現在、超リアルのなかで生きていくしかないGEEKな人間。
愛の乞食と感情の商人、、、その家畜たち。
私たちはこんな風に生きています。

激しい反動と狂気性の入り交じった非常な愛を全身に込めて、、、。
こんな形でしか変化できない。
憔悴の病、内なる悪徳、密やかに隠された毒々しい過敏な神経。

権力は気狂いの家内工業。
羊飼いは羊の奴隷。
新聞やTVやニュースをくれてやれ!!!
テロリズムや連続殺人や病気や離婚や政治の腐敗や環境汚染や戦争、、、。

眼を閉じるな。
このリアルの事象を体験しているのは誰?
思考の真の働きを体現させようとして利用する純粋な心的オートマティズムのなかで、どう動く?
私たちはありのままを今現在の存在の理由とともに舞台にあげる。
真実と人間が創り出す虚構の一切。
あらゆる人間と同じく、私もまた、快楽への、無制限の楽園の放縦への熱望をもって産まれてきた。

とっとと逃げだしたい。
でも実はそんなに自由でもないし、そこにいきたい訳でもなかった。
ではいったいどこへ?

こんなかたちでも愛してくれますか?

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