写真家に見つめられる東野祥子+Baby-Qの世界 今回Baby-Qは、作品の上演だけではなく、これまでの歩みを振り返る試みの一つとして写真展を開催する事となりました。会場となるHEP HALLの入るビルHEP FIVEは、１日に何万人もの買い物客が訪れるという巨大ショッピングスポット。あらゆる人々が交差するこのHEP FIVEでBABY-Qに出来ることは？まだダンスを観た事のない方や、興味も無い方をどのようにしてBABY-Qの世界に誘う？必ずしも劇場に足を運んだのではない人の目を引き、衝撃を与えたい。そんな思いから写真展のイメージを膨らませていきました。 その過程で自ずと思い浮かんでくるのが、Baby-Qを撮影してくれた数多くの写真家の存在です。普段私たちがチラシやポスターでお伝え出来る写真は、彼らが何百回と切ったシャッターのほんの一度を伝えるにすぎません。舞台写真を始め、ポートレートやオフ日に撮影した写真．．．。日ごろから撮りためてきてはいるものの、なかなか紹介しきれない。この写真展では、そんな写真の数々にフォーカスをあてて紹介したいと思います。BABY-Qの新たな一面をきっと発見できるはずです。写真展の入場は無料です。是非この機会に公演と併せてお楽しみ下さい。 写真家の方にBaby-Qの魅力について教えていただきました 　Dance+はこの機会に乗じて、Baby-Qに魅せられた写真家の方々に、次のようなアンケートを行いました。それぞれが選んだ「この一枚」と併せてご覧ください。 １　Baby-Q以外にはどんな写真をとられているのですか。 ２　なぜこの写真を選ばれたのか教えてください。 ３　レンズをとおして見える、あるいは写真で見せたいと思うBaby-Qの魅力とは？ ４　写真のフレームをはみだしてしまうBaby-Qの魅力について、あるいは一緒にお仕事をされる中でのエピソード。

Photo by Banri１　ポートレイトを中心に雑誌、広告で写真を撮ってます。ホームページがありますので、興味のある方はご覧になって下さい。 http://homepage.mac.com/banri

２　目立つかなぁと思って。 　　通天閣ちゃうでエッフェル塔やで。 ３　人間の身体の可能性と美しさを写真に納めたい。まだ撮れたためしがないですが。 　　あとは表情ですね。何かに取り憑かれたかの様に踊る姿に惚れ込んでます。 　　舞台に仕掛けられた映像、音響、照明、美術そしてロボット。ステージそのものも大きな魅力です。 ４　ダンスなんて全く興味が無かったのですが、たまたま見に行った公演で度肝を抜かれました。早速写真を撮らせてとお願いしました。何度か撮影を続けているうちに、パリでの公演が決まり、ついて行ってしまいました。パリでの終演後、観客の鳴り止まない拍手に感動しました。日本でも幅広い人達に見てもらい、世界観を共有出来たらと思います。BABY-Qは世界標準ですから。

Photo by 井上　嘉和１　自分の身の回りで鳴る音、表現を定着していくことを目的とした活動を軸に写真機を使った表現活動を行っています。

２　写真を選ぶときには思い入れなどはできるだけ排除して写真を見た瞬間に理由なくいいと思える感覚を大事にしています。 　　もちろんいいと思える基準は人それぞれですが私自身の感覚を信じています。 ３　はっきり言ってしまうとBABY-Qの表現は写真には納まらず見たい人は劇場に足を運ぶべきだと思っています。 　　私自身が撮るという行為を通してよりBABY-Qを見るという行為に注意を払うことができると思い何度も劇場に赴いてはシャッターを押しています。 　　私の視線と重なることによってBABY-Qに興味を持ってもらえればこんなにうれしいことはありません。 ４　２の問いにも答えましたがフレームに納まるBABY-Qは私という個人の視点でみた一面のBABY-Qにしかすぎません。 　　このBABY-Qというノイズを撒き散らしながら踊り狂う怪物の姿は見る人全てに違って見え、しかも見るたびにその姿を変えて僕を楽しませてくれます！ 　　僕はその正体を知りたいと思い何度も何度もシャッターを押しています。 　　でも、未だにその正体は掴めずにいる私はやはり何度も何度もシャッターを押すしかないのです。

Photo by HONDART１　雑誌やＣＤジャケットなど音楽媒体、基本的に人物を中心に写真を撮っています。

２　撮った時の雰囲気がよかったので選びました。 スタジオにお邪魔した時に練習中の中で写真を撮ってみませんか？と誘い、撮りました。 ３　魅力、言葉にして音を発せればすむ事なのに、言葉の代わりに動きで伝えたいと思うことを表現しようと必死な姿を見ると、写真をしているものからみればシャッターを押したくなるんでしょうね。 写真も音がでない。その分見えているものだけで勝負する。 舞踏と写真と共通している事は見せること、魅せること。 Baby-Qを撮る時、動き一つ一つが一期一会なのでジっとしていられなくなってついシャッターを切りまくってしまう、それがBaby-Qの魅力かな。 ４　Baby-Qのメンバーあれだけ個性バラバラなのに、でも、ヨーコさんを中心に一致団結して、 一人一人その個性を十分に発揮しているってのがすごいなと思う。 お互いの個性を尊重してるのがビシビシ伝わるね。

Photo by Pee１　依頼を受けて撮る時以外は、基本的にただ撮りたい時にシャッターを切ってます。多分、よく街の人がちいちゃいデジカメや携帯で撮ってるあの感覚と同じで、自分のまわりにいる人達やかっこいい人とかかわいい人や良い景色を日記的に撮ることが多いです。私はなんでもかんでも忘れっぽいので、ほとんどの場合カメラは記録装置としてぶら下げて出かけます。

２　私のほかにこのページで紹介されている人達は、きっと写真を撮るのが上手い人ばっかりだろうから、悔しいので、興奮任せに撮ったものをもってきました。これはジェイソン・フォレストという外国人のおっちゃんが来日した時のライブ中に、予定されてもないのにヨーコさんとケン君が出てきて踊り出して凄くかっこよかったので、めちゃくちゃ興奮して、めちゃくちゃに撮りまくったなかの一枚です。この写真をみていると、私はあの日の興奮を想い出します。 ３　私は、ダンスを写真で伝えるということ自体に無理があると思います。Baby-Qのことを人に説明するとき、いつも言葉に困って面倒なので写真をみてもらうのですが、Baby-Qの公演を体験せずして写真からイメージを読み取るのは難しい気がします。 ４　「GEEEEEK」という作品で、衣装を何着か作らせてもらうという話が、恐縮ながら出演までさせていただくことになりました。現在愉しく稽古中です。自慢終わり。

Photo by John Harte１　アンダーグラウンドミュージック／アートシーン

http://www.john-harte.com/ http://www.flickr.com/photos/baboo_mcfoo/ ２　Baby-Qに参加するアーティストが、ダンサー以外にもおもしろいアーティストを使っていて、そこがおもしろいと思っているので、このグループショット（白黒のもの）を選んだ。もう一つのYOKOのポートレート（カラーのもの）は、ダンサーとしての舞台のショットではなく、YOKOという人間としてのショットを見せたいと思ったからから選んだ。 ３　他のダンスカンパニーとは違う、いろんな人の個性のぶつありあいがあるところ。 ４　以前、僕も2回ほど、Baby-Qのパフォーマーとして、アイホールの公演に参加したことがあるのですが、本番5分前にみんなで乾杯してたところ、ある一人のメンバーが冗談でおならをして、そのときにパンツを履き替えなければならない状況になった。こんなファミリーのようなBaby-Qのメンバー達は、フリークスで、おもしろい個性を持ったひとたちの集まりだなーと実感した。(To me this is the magic of Baby-Q!!!) + + + + + さまざまな顔を持つBaby-Qのこと。ある程度予想はしていましたが、正直、これほどまでにヴァラエティーに富んだ写真が集まるとは思ってもみませんでした。けれどもみなさん共通するのは、Baby-Qの目撃体験に触発されて、つまりBaby-Qに“触れられた“ことへの応答として、自身の表現手段や外部記憶装置であるカメラに手を伸ばしていること。そのシャッターを切り続ける姿勢は、ダンスのために筆を執る詩人が「記述不能」という言葉を書き連ねるのにも似ている気がします。おそらくBaby-Qは、目撃者を行動に駆り立てずにはおかないというだけでなく、何らかの表現活動をしている人には、ふだん用いているメディアに挑戦する「何か」を突きつけることのできるカンパニーなのでしょう。そうやって動く身体と、何千、何万もの視線が触れ合い、振れあってゆくことがBaby-Qの世界を豊かにしているのなら、そこに次に参加するのは、[GEEEEEK]の目撃者となるあなたなのかも知れません。 PHOTO EXHIBITION BABY-Q MIXED MEDIA PHOTO EXHIBITION!!! 「BABYLON QUEST」 11月22日（水）〜26日（日）11:00〜21:00（最終日は17:00まで） 会場＝HEP HALLロビー　●入場無料