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2001年2月に退職し、この事務所を立ち上げました。その時抱えていたのは、六甲自然の家のネイチャーアートキャンプと河内長野アーティストインレジデンスのプロデュース。

最初の(2001年)ネイチャーアートキャンプはどんな内容だったんですか?
大久保英治さん、岡山直之さん、椎原保さん、grafの服部滋樹さんによる各1週間ずつ滞在のワークショップでした。この時の参加者は、いろんな人の紹介で決まっていったんですよ。その頃、まだ作家のこともあまり知らないし、いろんな人に会いにいって教えてもらおうと動いていて、ある人の紹介で広島現代美術館の学芸員をされている岡本さんという女性に会いに行ったんです。僕にとってはこれが転機になってますね。そこで、いろんなアーティストの話を聞いて、何人かアーティストを紹介してもらって、そこからまた広がっていってこの4人のアーティストに。
岡山直之さんは熊本在住でアーティスト兼木こりという人です。「最近よく山のカンバツの問題がニュースになっているけど、みんな山に来たことないやん」って、ピクニックというプログラムを企画して、いろんな人に山へ来てもらって活動をしながら現状を見てもらうということをしている作家だと伝え聞いて、資料を見せてもらうとおもしろそうだったので参加してもらうことに。六甲では、桃太郎大作戦と呼んでたんですけど、10組ほどの親子が親チーム、子供チームと二つに分かれて湖とすぐそばの小高い山に。一方は旗や凧を使って空に、もう一方は木の板で湖をキャンバスに絵を描く。お互いの絵を見ながら話したり名前を呼び合ったりして交信し合う。そういうプログラムでした。
椎原保さんは藤本由紀夫さんに紹介してもらったんです。屋外でのしかもワークショップというのは初めてだったそうなんですが、鏡を使って光の存在を改めて見てみようと、子供達が思い思いに湖畔に浮かべたり木に吊るしたり。大久保英治さんは、僕がCASOで作品を見て、直接会いに行ってお願いをした作家です。森の中の水の枯れた沢にかかる橋に杉の枝でトンネルを作りました。子供たちは枝を運んできて、切って打ち付けたり紐で結んだり。これは今でも残っています。
もう一人はgrafの服部滋樹さん。是非やりたいというので企画書を出してもらって、彼に参加してもらいました。
アートだけじゃなくて幅をもたせたかったというのもあって。(ゆくゆくはカメラや音楽、建築などいろんな分野の人にも参加してもらえたらと考えてるんです。)服部君の企画というのは、彼自身月を見るのが好きで、そのためのベッドを作って最高のシチュエーションをセッティングするというもので、湖に浮遊するベッドを作ったんです。子供には「寝床を創ったことがあるか?」って投げかけて、自分の居心地いいと思うベッドをわらでそれぞれ創ったんです。最後は彼自身の演出で湖に浮かべて(ロウソクも浮かべ)、ヒーリング系のミュージシャンを呼んできて夜にコンサートをしました。湖のセッティングだったのでびしょびしょになって大変だったんですが..でも最高でしたよ。

今年はアーティストは2組でしたね。
去年の反省から今年は2組にしたんです。1組につき1週間は短すぎたし、4人というのも多すぎたなあと。予算を押さえるという狙いもあったんですけど。一組、2週間の滞在でお願いしました。

藤浩志さんとの出会いは?
かえっこショップhttp://www1.linkclub.or.jp/~fuji/VPC/delybery.html)を福岡に見に行った時に知り合ったんです。
その時に仲良くなって他の仕事も見せてもらって、その後も連絡を取り合ってたんですが、去年のネイチャーアートキャンプの時期にたまたま神戸に来られていて見に来てくれて。そこで、「ここでやりたいことを思いついた」って。話を聞いたらおもしろそうだったので、今年は藤さんにお願いしようと。あと建築をからめたいなあっていうのもあってBTで知ったPHスタジオどうかなあって考えてたら、藤さんが紹介してくれて、それで、彼らも興味を持ってくれて参加してもらうことに。
PHスタジオは、施設内の使わなくなった温室を利用し、森のレストランを。レストランに必要であろう、小物、お皿やお箸、テーブルクロスやソファーのカバー、テーブルや椅子、看板、てんとう虫のカタチのろうそくなどなどグループに分かれて制作し、最後は、レストランに枯れ葉を敷き詰めて、PHさんがそれぞれの作品を演出して、レストランに。
 
藤さんは物語を作ろうということで、それぞれ好きなことをして遊んだ。森の奥まで入って行って基地を作ったり、木の実や葉っぱや小枝などを使って、料理を作ったり。ブランコを作って遊んだり。椅子を作ったり。鳥やイノシシクマという空想の生き物を作っていたグループも。まず、大学生スタッフが現地に入り、探索をして、自分達がここで何をしたいかそれぞれが見つけだして、そこから子供のモチベーションづくり、仕掛けを作っていく。最初に何をするかというプログラムは何も決めないんです。その仕掛けに子供がどう反応するかで変わる。仕掛けに反応しない場合もあったり(笑)。
その後も引き続いて、僕もしくはiopのスタッフの川浪さんと大学生のサポートスタッフが現在も毎週水曜日に、藤さんのワークショップに参加していた東須磨小学校へ行って、授業の一環でその体験をもとに図鑑を制作したり、作業を続けてます。実は、キャンプの前にも藤さんと大学生スタッフとで小学校へ行き4時間の授業をしてるんですよ。自然の家の説明をして、イメージトレーニングみたいなことをしました。今年は、小学校の授業の一環として4校が参加したんです。これは神戸市のとびっきりネイチャーといって4年生が1泊2日の自然体験をするといういうプログラムとタイアップして行ったもので、画期的なことでした。

学校のカリキュラムとは違って最初から何も設定されていないので、本当の意味で子供も含めた参加者でストーリーを作っていくという感じですね。参加していた子供たちも帰る時名残惜しそうでしたし。参加していた東須磨小学校の校長先生も大喜び
「誰かが損したり、しんどい思いだけして面白くない人が一人でもまじってたら、その仕事はうまくいかないよ」っていう話をある建築家の人から聞いたことがあって。自然の家のスタッフ、大学生のサポートスタッフ、写真班やビデオ班も含めて、反省会をしてるんです。それをフィードバックさせていく。去年の反省会で出てきたいろんな意見や苦情(笑)は今年に生かすようにしました。みんなで支えあって出来ている事業なので、みんなの意見を出来るだけ反映出来るように。カメラ班もビデオ班も自腹こそ切ってないものの、ほとんどボランティアですからね。それにいつまでも甘えてたらあかんなあっていうのもあるし、2003年に向けて予算配分ももう一度考えないと。参加してもらったアーティストに何度か言われたんですが、六甲は大自然の中ではなくて都市の裏庭という感覚ですよって。また、ここでのプログラムは神戸オリジナルにするのがいいよって。なので、この場所だからこそ出来ることをやっていきたいなと考えてます。今年も反省会をやってから、来年のプランを立てていきます。
今年のワークショップで最終的に出来上がった図鑑や自然の家で子供達がつくったものなど、神戸アートビレッジセンターで来年の2月2日から1週間展示予定ですので、、是非見に来て下さい。
 

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