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あの役この役
河内「ところで、今、舞台の方は?」
亀鶴「今は巡業中でして、三津五郎さんの襲名披露興行に参加させて頂いております。俣野五郎という「石切梶原」の赤面・・強い役ですね」
河内「かなり好評と伺っておりますが・・」
亀鶴「どうなんでしょうか・・毎日、うちの叔父に怒られていますね」
河内「(笑)・・・赤面っていうのは珍しいですね」
亀鶴「そうですね。僕は初めて赤面という役柄をさせて頂いたんですけども、今まで色々先輩方の舞台とかを拝見させて頂いていても“やりたいなぁー”とは思ったことは一度もないんですねー」
河内「へえ、そうなんですか」
亀鶴「ええ。今回も自分が拝見したものをお稽古して、叔父に見てもらいに行きまして、まあ、それが歌舞伎の中で教わるってことなんですが・・こと細かに教えて頂きました。歌舞伎の稽古っていうのは、皆でするのは3、4日位、それで初日開いてしまいますし、とても短いですからねえ」
河内「今回も具体的には叔父さんに習われたのですね」
亀鶴「そうです」


シャイな素顔
河内「今まで勉強会では色々されたと思いますが、例えばどんな役をされたのですか?」
亀鶴「“引窓”の十次兵衛とか、“魚屋宗五郎”の宗五郎とか・・・」
河内「江戸も上方も両方とも。この前、鑑賞教室では“関の戸”をされたんですよね?」
亀鶴「ええ」
河内「これも評判良かったようですね」
亀鶴「とにかく必死で演ってたんですが、うちの叔父が“勧進帳よりこれはしんどい”って言っていました。科白を言いながら踊るのは大変ですね」
河内「そういえば、亡くなられた白翁さんが、お弟子に“関の戸”を指導してらっしゃって、そのお弟子の方が失神しかけまして、“死んでも演れ!!”って怒鳴ってはりましたねえ。それを見て“凄い役なんだなあ”と思いましたね」
亀鶴「僕も死にそうでした(笑)」

河内「で、この前は岸和田の波切ホールで“夏祭”の磯之丞、初役で、いかがでしたが?和事ですが」
亀鶴「いやあ、苦手ですね」
河内「見た目は、ぴったりな感じがしますが」
亀鶴「いやあ、恥ずかしい、恥ずかしい・・・前の日、ある方に言われましてね。もう少し女性関係をちゃんとした方がいいんじゃないかって・・・」
河内「(笑)ちゃんとって、どうちゃんとですか?」
亀鶴「何ていうんでしょ。ちゃんと付き合ったりした方がいいんじゃないかって」
河内「ちゃんと整理しろではなくって、もっと付き合えってことですか」
亀鶴「そうです。苦手なんですよ」
河内「(女性は)好きなんですか?」
亀鶴「好きです(笑)」
河内「(女性は)嫌いですか?」
亀鶴「好きです(笑)。いやあ、好きなんですが、苦手なんです」
河内「人見知りするんですか?」
亀鶴「ええ、そういうのがきっと、ああいう役の時にでてくるんでしょうね」
河内「まあ、若い時から、ああいう和事のじゃらじゃらした役ってのは、皆好きじゃないでしょうがねえ」
亀鶴「(力を入れて)これがねえ、好きな人もいるんですよ(笑)」

河内「(笑)役によって入り方や気分が違うものですか?」
亀鶴「違いますね。女形をしているときは何ていうか、とても神経質になってしまいます。女の人って“素晴らしい”って思うのは、まず綺麗に見せようとするでしょ。手の動き、お化粧、人に対する神経の気配りとか・・・名題さんの女形さんと楽屋をご一緒した時に実感したのですが、まず、化粧前がとても綺麗で、常に鏡と向き合っていますね(笑)」
河内「年齢差の違いを表現するというのは?」
亀鶴「歌舞伎の面白いところ、80歳の人が若い役をする。それをそう見せるのが芸だと思いますね」
河内「好きな芝居っていうのは?」
亀鶴「やっぱり義太夫狂言が好きなんですよ。今、大阪にいるから言うのではなくって、江戸歌舞伎的な様式でみせるようなものより、ドラマ性のある芝居が好きなんですよね。」
河内「じゃあ江戸の“魚屋宗五郎”とかは?」
亀鶴「あれは好きですよ。殺された妹を思う気持ち、心情的なドラマですから」
河内「お酒はお飲みになるのですか?」
亀鶴「はい、たしなむ程度に(笑)」
河内「それは、宗五郎につながりますか?」
亀鶴「それは繋がりません。僕なんかが飲んでるのとは訳が違いますからね(笑)。それと、時代物は型とかがありますが、世話物っていうのは、普段の暮らしから何とかしとかないと・・・うちの叔父なんかは実際に和の暮らしを体験して来ていますからね、“ああ、そういう時代に生まれたかったなあ”と、歌舞伎役者だからこそ、そう思ってしまうことはあります。」
河内「そうすると先輩の舞台はよくご覧になりますか?」
亀鶴「好きなものは観ます。これが僕のいけないところなんですね(笑)。芝居ってアンサンブルで、主役だけが良くても成り立たないですから、脇の方の動きや、普段出来るだけ楽屋にいることを心掛けたりして、流れのようなものを身につけたいなと思います」

河内「これから演ってみたい役とか、方向性とか」
亀鶴「いやあ、まだ、僕風情がそんなことを言うのは早いですよ。これから色んな役を勉強させてもらって感じることもあるでしょうし、また、自分だけで決められることじゃない、お客様が判断されることも有る訳ですから。頂いたお役はちゃんと習って、キチンとやって行きたいと思いますね」
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