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「第一回みよし会」での「文売」

美しい人
 舞台、特に歌舞伎はとにかくお金がかかる。一本一本人毛が植えられ役者さんの頭の形に合わせて作られる鬘、手の込んだ衣装ももちろん高級素材で出来たもの。表方、チケットのもぎりや会場の案内は有志が何とかお手伝いすることは出来ても、演出も構成も振付も地方さんも、そして、美術も道具も鬘も衣装も照明も音響も、歌舞伎を知っている技術者の方でなくてはどうとも出来ない。

 今まで三本ほど予算の厳しい公演の制作のお手伝いをさせて頂く機会を得たけど、裏方の人も皆、芝居が好きなんだなあっていうのを実感しました。現場での皆さんの仕事ぶりは損得勘定なし、心意気で仕事をする、良い仕事をしてお客様に喜んで頂きたい、言葉になくても、つくづくこう感じながら仕事が出来たことは幸せでした。けれど、そうした多くの厚意のもとでも、それでも自主公演は赤字を覚悟でなければ出来ない・・・現実は厳しいです。

 「自分の財産は、自分の身に芸を付けることだと思う」「主人(片岡我當さん)の世話をすることで苦だと思ったことは一度もなかった、好きな歌舞伎に関わることだから」・・・普通の会話で普通に吉弥さんから伺った時、役者としてとても美しい人だと思いました。

「第一回みよし会」仕込み風景

制作発表
 6月4日、いよいよ「第二回みよし会」の制作発表。数え切れないほどの「あーやない、こーやない」が繰り返されての今日です。 
出席したのは、我當さん(「後の梅川」監修)、山村若先生(「浪花の四季」振付)、松竹株式会社の白井重役(協力)、関西・歌舞伎を愛する会事務局長の川島さん(みよし会開催実行委員会)、そして、水口一夫先生(「後の梅川」「浪花の四季」演出)と、もちろん主催で主演の吉弥さん。新聞各社の文化部、歌舞伎に関して執筆しておられる先生方、多くの皆様がお集まり下さり、私は司会者として同席しました。
 
 昨年の初めての「みよし会」。吉弥さんは、「銀のかんざし」という松竹新喜劇の名作に歌舞伎役者として初めてトライをし、女主人公、髪結いのお勝の勝気さと可愛らしさを女形の芸として新たに表現してみせ評価を得ました。
 
 実はその時、我當さんは大変なご病気で、毎日、病室から劇場に通っておられ、病状の結果、まぶたが下がり、芝居の化粧をすれば何とかごまかせはするけども、この素顔でお客様の前でご挨拶するのは忍びないと、「みよし会」に来られるのを断念されたのです。

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