堂島川に漕ぎ出した船から神鉾を流し、鉾が漂着したところに御神霊を移して御旅所とする。これが古くから伝わる宵宮の鉾流神事の意義である。今の船渡御は上流に向かい、飛翔橋でUターンするコースをとっているが、神事は古式にのっとり厳かにとり行われる。天神祭は出御した神霊とともに宮を出て、街を巡行し、太鼓、囃子、踊りで賑やかな時を遊び、再び宮に戻ることで成り立つ。
本宮の陸渡御、船渡御の華やかさに注目が集まりがちな天神祭だが、宵宮のじわじわとエネルギーをためていく盛り上がりには、祭り好きの胸をわくわくさせるものがある。
宵宮の前日に行われる包丁式、ギャル御輿にも多くの見物人が集る。特に天神橋筋商店街を駆け抜けるギャル御輿は祭の新しい名物になった。祭り本番の前から街に溢れる祭り気分。伝統を守りながらリニューアルを繰り返す天神祭で変わらないのは、祭りをとことん楽しむ人々の心だろう。
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