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大阪を中心に活動するトウヤマタケオさんは、バンド、ソロ、トリオ、楽団とさまざまなフォーマットでの演奏に取り組んできた。トウヤマタケオ楽団の、CDリリースのツアーで忙しいトウヤマタケオさんに、音楽との関わりを中心に、話を伺った。

2004年11月24日 大阪堀江チャルカにて

トウヤマさんの活動の中でいまは、一番楽団のウェートが高いと思うんですが、ほかにもトリオやソロをしたりいろんな活動をされています。ところで、音楽に触れたきっかけっていうのはいつ頃なんですか?

小学校1年の秋から3年の終わりまで、親にいわれてピアノを習ってたんです。4年になって引っ越ししたときに「続けるか?」っていわれて、「嫌や」って、かなり嫌やったね。

「バイエル」は習い終わってるよね。

「赤」、「黄」が終わって、「ブルックミューラー」にいってアラベスクは弾いたけど、全部は終わってない。
それからは適当弾き、歌謡曲とか、家にピアノがあったしね。

クラシックやとコードは覚えられへんやん?

コードは二つ上の兄貴が中学に入って、バンドとかに興味もってギターを買ってもらって、コードを覚えるやん。そのコードを一つずつ音を聴いて、鍵盤に置き換えて、「あー!こうなってるのか」って、それからはギター弾くような感じピアノを弾きだした。

クラシック教育って楽譜から自由になられへんやん。

それもあって音楽教室をやりたかってん。楽しんでもらおうと思って。最初にテクニックを習いたい人はお断りして。楽譜は使わずに教えていて、説明するための手段に楽譜があると便利やし、昔やってた人には楽譜をもとに話はするけど。全然楽譜が読まれへん人には、鍵盤の絵を書いた紙に印をつけて。Cやったらド、ミ、ソに丸つけて、ビジュアル的にわかるようにして、それと平行して仕組みをいっておけば、後は応用やねん。

そうやって、教えることをはじめて、トウヤマさんの音楽は何か変わりました?

今まで体で覚えてたのが、「どういうこと?」って質問がくるから、自分で整理するようになって、やってきたことの意味が分かってきた。逆転やねんけど。

ロックバンドとか組んでたんですか?

中学のときは金持ちの子が、ギター持ってて、みんなで触って。高校に入ってみんなバンド、バンドっていいだして。
高校のときからブルースとかやりだして、サザンロックとかレイナードスキナードとか、黒人音楽至上主義で、オーティス(レディング)とかアトランティック(レーベル)系のソウルやね。そのころは歌とキーボード。
大学の後半からはニューオリンズが好きになって、ライブハウスとか出だして、リクオ君とかに出会って、俺はもうピアノで追求するのはやめとこうって。
卒業してから、梅田のcottn100%に箱バンのキーボードで入って、大学のときには「先輩みたいなバンド組みたいっす」っていわれてたんが、井の中の蛙やってわかって、いろんな人とセッションして、衝撃で、そのままズルズルと。

クラシックは聴き続けてたの?ピアノで弾いたりは?

聴いてなかった、ピアノやめてからは積極的には聴いたことなかったし、弾かへんかった。弾くときは常にコードの延長で考えていくから。メロディーもコードの延長でやってきたんやけど。それが行き詰まる感じがして、今の形になってきてんけど。コードは便利やけど色づけをはっきりしてしまうから、やめようって。

で、ずーっと来て、現代音楽には関心があったの?

竹村(ノブカズ)さんがスピリチャル・バイブスを辞めてソロを始めたころに仕事をてつだっていて、竹村さんも僕もちょうど転換期で、(スティーブ)ライヒとかの現代音楽とか、ほんまにいろんなものを聴くようになった。
で、その頃は僕はまだ、MACをもってなくて、4トラックのMTR(マルチトラックレコーダー)に衝動のような短いフレーズを、ネタを録りためてた。で、それを半野(喜弘)さんがレーベルやるときに渡して「ほな出しましょか」ってなってでたのがファースト「GROUND PIANO」で98年に出た。僕としてはほんまに気楽にだしたもので、バンドもやってたし、ロック的なものは発散できてたから、自分のごちゃごちゃしてた物を出した感じ。それから「hello 88」までは間が空いていて。
そうそう、僕、プロダクション的な考えが弱いから、人に聴いてもらうところまであんまり考えてないねん。CD初のライブやったら、普通その曲をやるのに、やらへんねん。産業としての、流れがわからなくて、ライブやったらライブに、CDやったらCDに集中してしまうねん。(笑)

そうか、トウヤマさんの音楽は聴いていて、いわゆる聴きやすい音楽の一つのはずなのに、聴き逃せなくて、質量がある気がするんだけど。そのへんと関係してるのかな?

飽き性なんがあると思う。2、3回で飽きるのがいややから、いっぱい仕掛け作るから。

ながら聴きがしにくい。

そうやねん。たとえば、僕もつくったら友達には聴かせたくて、友達の家とか飲み屋とかで「かけて」っていうてかけてもらうと、良くも悪くもみんな止まってしまう。聴きながら楽しく話すようなことができひん。そんなとき、僕、空気をかえてしまって「すいません」って。僕の音楽はひとりで聴いてもらうのがいいのかもしれへん。
僕自身、音楽機のがBGMにならなくて、かけるとじっと集中してしまうから、あんまり家では音楽かけへん。かけるまでに心構えが必要。