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では、そのニュー・ミュージック・アクションなんですけども、毎月1回で、どれくらい継続して行われましたか?

ずーっとやってましたよ。だから、96年春にスタートして、そして僕が東京に引っ越ししたんですよね、3年前にね。東京に引っ越すまでは、毎月やってて。で、僕は引っ越してからも、もちろん僕が来れないことが多くなったので、メンバーの他の誰かがディレクションをやる形で続いています。今でも。ただ、名前はかえたみたいですけどね。僕は僕でBRIDGEが始まったので、こっちでも定期的ではないけどもやってます。時間をみつけて。

多分、すごくいろんな人がきて「知らなかった。え〜、こんなことやってるの?」みたいな人もいたと思うんですけど。

いっぱいいましたね。(笑)

あの、内橋さんが始めて、何回かやってるなかで、特に印象深かった人とか出来事とかって、ありますか?

印象深かった出来事ねぇ。意外と“これはすごかった”っとかっていうのは、特にないんですけど・・・。そう、毎月やってるなか、毎回知らない人が来るんですよ。まずねぇ、長い事やってて一番びっくりしたのはそこです。毎月、知らない顔を見るんですよ。それって何かなぁと思って。普通こう、だいたい来る人間が決まってくるわけじゃないですか。それで、ひとつの固まりになっちゃって、そこからなかなか抜け出られなくなっちゃう。わりとよく起こる現象なんだけど、とりあえず毎月知らない人が来てたっていうのは、何かすごくやってて、ビックリしたっていうことではありますよね。
そりゃ、もちろん個人的にすごい面白いやつがいて、びっくりしたっていうのはあります。それは、もちろん個人的に何人か、素晴らしい人材に出会ったっていう衝撃はありますけど。なんせ、毎月知らないひとが来たっていうのは、ちょっと、嬉しいですよね。


96年から危機感をもって、ニュー・ミュージック・アクションを始めて、やってみたら、毎月毎月知らない人が入って、加わってきて、で、要はだんだんと、こう拡がりが出てきたわけですよね。つまり半分閉じて、半分開いたみたいなコミュニティが出来てきたと思うんですけど、そこから多分、僕はジーベック(註)にいたんで、多分こうだろうなぁと思うんですけど、F.B.I.(註)みたいなことをやっていこうっていう考えに、スムーズに繋がっていったのかな、と。

すごく密接に繋がってますね。

なんか、今年も8回目のF.B.I.ありますけど、最初に始めようってこと自体、すごい大きなリスクかもしれません。個人で全部しょってたんでしょ?なんかその、大きなきっかけっていうのは?

同じですよね。現状打破ですよね。だから、結局ね、あのやっぱりお客さんに聞いてもらいたいっていうのがあるし、僕は自分で長いこと演奏してきて思ったのは、やっぱり聞いてもらってなんぼなんですよ。それって、人の前で演奏してお客さんからリアクションもらって、そこで多分、自分で分かることとか発見することとかがある。演奏しててね。やっぱり、即興やってる人ってみんなそうだと思うんですけど、やっぱりそのかけひきとか、現場で起こったこととか発見したことって、やっぱり財産になるから。そういう経験っていうのは、みんなしないとダメだと思う。そういう意味で、お客さんの前で演奏するっていう機会をみんなに持ってもらいたいと思ったし、それもちゃんと、そこそこの数のお客さんにね、そういうところで演奏すると、演奏が変わるんですよ。ほんとに。だから、普段セッションしたりなんかしてるのと、例えば、同じ組み合わせをF.B.I.もってきて、「これやってね、面白かったからやってね」っていっても、やっぱりね、普段やってるよりも面白いことが起こってる。やっぱりそれは、それだけの人を巻き込んで、お客さんからもすごく何かをもらって、そこで自分もいろんなことを吸収してっていう、そういう何か、くり返しが重要なんだと思う。
それと、あと単純に、たくさんの人、たくさんのお客さんに聞いてもらいたいっていうのと、両方です。そういう両方を兼ね備えたものって何かっていったら、そういうイベントをやるしかない。
ひとつの、例えばコンサートに客を何百人って呼ぶのは、無理だっていうふうに思ってたから、この手の音楽はね。だからそういう意味では、あまりこういうのを聞いたことが無い人でも、これだけたくさん30コも40コもバンドが出て来たら、どれか面白いのが絶対にあると思う。「これは面白かったな、これはイマイチだったけど」と、そういうことがある。それで一つでも面白いなっていうのが見つかれば、そこがきっかけになって何かそういうものに興味をもってくれたりするかもしれないし。そもそもこの手の音楽っていうのは、ジャンルではないから、音楽家ひとりひとりが1ジャンルみたいなもんですから。即興音楽って、即興音楽という一つのジャンルではないんですよ。ただの演奏形態だけなので、音楽的な種類としてはほんとさまざまなんですよ。それをもっと分かってもらいたいなっていうのがあったんですよ。


それにしても、ものすごい数の出演者がいて、それぞれが全然ちがって、演奏する場所も、最初の頃はステージでやったり、それからホワイエにステージ作ったりとか。あと、ホワイエで移動しながら演奏したりとか、いろいろあって。あれで、すごい有名な人もパラパラ入ってて、楽しみにしてたんですけど、いざ聞いてみると、そういう人たちの間で、全然知らなかった人たちとかも聞けて、それと聞き比べっていうとヘンだけど、なんかすごい豪勢な、初めてそれだけ聞いたら、多分ピンとこなかったことが、いろんなものを聞く事で、わーっと立ち上がってくるような、そういう感じかな。

それは確かにあると思います。お客さんの反応みて思ったもん。ずーっとあそこにいるとね、何か、いろんなことが見えてくるっていうかね。それで、だんだんだんだん、麻痺してくる。特にジーベックの場合は、隔離された場所だから、もう夜中とか、最初の頃はオールナイトとかやってたじゃないですか、朝までやってたでしょ。あんなわけわかんない音楽を朝までやってたわけじゃないですか。もうお客さん、帰れないし、もうそこで寝るしかないわけですよね。そこまでもう完璧に拘束しちゃってるから、お客さんはもう、ここに居座るっていうか、開き直っちゃう。そうすると、聞こえ方とか聞き方とか、もちろん変わってきて。だんだんだんだん、そういうものがこう、そんなにヘンなものっていうか、ま、ヘンなものでいいんだけど、結構身近なものになってきて、帰る頃にはもうお腹いっぱいで、ヘトヘトで。でもなんか、また来ようかなぁ、みたいなね。そういう感じになってたみたいですね。(笑)

そうですね、F.B.I.の場合は、もう一つ。あの、ちょっと普通じゃ手に入らないCDとかカセットとか、いろんなものがいっきに集まってきてたよね。あれだけでもスゴイよね。

あれだけを買いにくる人とかいましたよね。(笑)
買い付けにくる。なかなか集まんないからね、あれだけね。


そういう、コンサートをプロデュースするとかっていうんじゃなくて、シーン全体を拡張していくというか、そういう機会って、F.B.I.しかないんじゃないかなって。

そうですね。