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 大阪でなんかやるんやったら、新世界でやりたいんです。実は僕、最初新世界嫌いやったんです。僕らが小さい時は、この辺りはとにかく荒れてたからここの市場(新世界市場)の子、みんな遠くの学校に行っていました。で、僕も田辺(阿倍野区)の方に通っていました。通天閣の下にストリップ劇場があったりしたもんやから、小学校の時「どっから来てんの?」って友達から聞かれて「新世界や。」って答えると「ぎゃー、嫌なとこやな!」って(笑)。
 でも大学生になって、一時大阪から離れたんですよ。その時に新世界のこと考えたらごっつういい場所で、ここほど便利で暮らしやすい場所ないと思えてきて、それ以来僕は新世界っていう場所を全部プラスに捉えられるようになった。だから今CD売って情報発信してるけど、新世界から出ようとは思わないんです。ミナミで仕事してる親友に「ミナミ出てこいや。新世界は死んでいくぞ!」と言われても、「何言うてんねん。ここでやるからええねや。」て言うているんです。だから、新世界のいいところは1回離れたらわかると思っています。

 それとね、僕の意地があって東京でなくて大阪で情報発信していきたいんです。大概、モノ作りっていうのが東京抜きには考えられないでしょ。でも東京にないものが大阪から発信されている、っていうのがあればいいじゃないですか(笑)。

 だけど、大阪から情報を発信するっていうのは、それはそれはもう大変なこと。至難の業なんです。大阪の人はめちゃくちゃ合理的で、用心深くて、動き出すのも遅いんですもん(笑)。僕が今までやってきて、大阪で商売できるようになったのは東京の方から徐々に火がついてきて、それがこっちに流れてきて、やっと認めてもらったからなんです。そうなるまで大阪で動くのは大変でした。
 それと、大阪には、知らんもんに対してお金を払ってあげようっていう「先取性」っていう考え方が、東京と比べてないんです。例えば東京で1万円のレコードがここにあるとします。本当に二度と出ないようなきれいな音なので10万!て言うたら、東京では買う人がいるんですよ。でも、こんなことは大阪にはまずいないもんね。そのものの適正価格、それを適正情報と置き換えてもいいんやけど、その実体のそれ以上に評価するってことがものすごく出来にくい土地柄なんです。だからある程度大阪でなんかやろう思ったら目に見える実績残さないといけない。あやふやな形の、数字であらわせないものに対する評価はむちゃくちゃ厳しいんですね。

 逆に考えると、大阪の人を納得させようと思ったら時間かかるけど、一旦大阪の人の気持ちをつかんだらしっかりついてきてくれる。だから大阪で何かを立ち上げてそれが認められるってことはめっちゃくちゃエネルギーがいるけれど、めちゃくちゃ頑張れることやと思います。

 

 僕には夢がありまして、いつか新世界で一年に一回でも二回でもいいから、ジャズのライブやってジャズの楽しさ伝えたいんですよ。ジャズのイベントってお客さんが入らなくても収支が合えばいい、っていうのがめちゃくちゃ多いんです。だけど僕は沢山の人に来てもらって、沢山の人にジャズの楽しさ知ってもらいたいんです。中ノ島公会堂で、ミュージシャンを招聘してライブした時に「ライブってこんなええもんやったんか」って思ったことがあったんです。北海道から沖縄まで全国各所から澤野ファンが聴きに来てくれて「今日は良かったわ!」って言ってくれて、アンコールやってる時なんか涙ポロポロ落ちてきましてね。めちゃくちゃエネルギー使った分、ミュージシャンも喜んでいましたし、お客さんも僕も楽しめました。今、充電期間中なんですけど来年くらいにまた新しく発掘したミュージシャンを呼んでまたしようかなって思っている最中です。さあ、どこでやろうかな(笑)。新世界で出来たらいいですね。楽しみにしといて下さいね。

色とりどりの履き物がディスプレイされている
LA NUIT/ペリーヌ・マンスゥイ・トリオ 澤野工房待望の最新作
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