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死ぬまで続く死という恐怖 西尾雅
4月下旬から始まったラフレシア円形劇場祭(9団体参加)を締めくくるのは、新テント提供者でもある楽市楽座。柿落しのくじら企画公演時は花冷えで、急遽配られた透明ビニールシートを身体に巻きつけ寒さ対策したのが夢のよう。3ケ月を経た梅雨空は半袖でも蒸し暑く、上演中の通り雨が野外劇を盛り上げる。ずぶ濡れの役者は大変だろうが、屋根のある客席は、おしめりの風が心地よく、季節を肌に感じる野外の特権を堪能する。

闇に浮かぶあやしいキャバレーの店先で客を呼び込む看板持ちのピエロ(セラビ・ボーズ)もどこかおかしい。夜の街に迷い込んだ家出少年(佐野キリコ)は、ゴミ捨てのホステス(小室千恵、睡きのこ)に挙動不審を抱き、物騒な2人組(昇龍之助、中村明雄)のバイト斡旋を拒否し、あげくはホモの本性を現したピエロに襲われる。夢落ちを逆手に次々展開するは悪夢と醒めた現実の繰り返し。売れない役者志望がいきなりハリウッドにスカウトされるお馬鹿幻想の劇中劇を役者総出で展開し、ゆるゆるなギャグ歌謡ショーで野外テントらしく盛り上げる。

ホステスが捨てる生ゴミは、カモにされた客のバラバラ死体? キャバレーを辞め、始めたうどん店の出汁はそのエキス? おいしいバイト話は海外への身売り? 水商売を隠れ蓑にクスリの密売? 疑心暗鬼から生まれる悪夢の数々はそれこそが日常だと暗示する。起きている現実の方こそ悪夢なのだと。

ナイーブな少年がとりわけ怖れるのは性、関心があるよりも脅える態。性交中の写真を見せられて嫌悪し、自分が両親の性行為から生まれたことに傷つく。思春期に誰しも経験ある性へのアンビバレンツ、憧れと怖れに引き裂かれ、少年は悪夢に誘い込まれる。自身の性衝動も含め、性の葛藤こそが人を惑わす根源だと指摘する。

悪夢の果てはお約束、ゾンビとなって甦る死体。殺され、あるいは自殺した死者が息を吹き返し、鵺(ぬえ)となる。凶器として怖れるべきは、金属塊のような拳銃よりも刃が鋭く光る出刃包丁。本物でなく舞台用のダミーと承知していても、テントを支えるパイプに擦れ、鈍い金属音を立てる出刃に背筋が凍る。女の嫉妬が振り回す出刃の生々しさ、それを直近で観る戦慄。一瞬、芝居ではなく、バーチャルな死と錯覚する。死ぬほどの恐怖、その悪夢は大人になろうとも続く、死が永遠の安らぎを与えるまで。人がその逆説から逃れる術はない。

キーワード
■性 ■ラフレシア円形演劇祭
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