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個性あふれる3作競演 西尾雅
ピースピット主宰の末満健一の呼びかけで集まったオーデションメンバーが半年間のワークショップを行い、1本の芝居を上演してその終了を飾るというコンセプトのHALFYEAR THEATERも「ニャンプー」「BOOK」「闇の猫」と3回を数え、今回はその3公演から選抜されたメンバーでQUARTER YEAR THEATERを結成して3ヶ月の稽古後、上演時間60分強の芝居3本連続上演を敢行した。

作・演出はすべて末満ひとり(出演はせず)だが、3本は異なる世界観から成る、まったくテイストの違う作品。その1本だけでも役者は複数の役を繁雑に演じ分け、お得意のスピィーディなアンサンブルに瞬速の着替えで参加する。3公演分の複数の役と膨大な動きを3ヶ月で覚えきる役者に感心しきり(各3ステージの公演数なのに)。

衣装と照明、音響に凝るが、装置はまったくないシンプルな素舞台。役者の身体能力を生かし観客の想像力を引き出す。台詞とマイムのコンビネーションに心身をゆだね、生み出される豊饒な世界に酔うは観劇の至福。千夜一夜物語のように尽きない物語がおそらく末満の理想。語り部・末満の世界を身体表現する役者の饗宴に招かれた観客はゲストだ。

各作品ごとに座組名が冠されており、当日(最終日)の上演順に座組名とタイトルを並べれば「BROKEN歌舞伎」と銘打たれた「星降る夜の月光一座」の「眉山の獣」、同じくハリウッド新喜劇「極楽新喜劇」の「通天閣バトルロワイヤル」、そしてパフォーマンスレビュー「ローゼンス乙女」の「リオ・フォレストの柩」と続く。一言で評するなら順に、新感覚サスペンス歌舞伎、ゲームコミックエンタメそしてゴシックロマン少女戦記といったところ。

「眉山の獣」は盗賊5人の罠にはまり、呪いを受けた剣士が復讐の旅先で出会う活劇譚。人身御供の少女を助けた剣士は、代々続く土地神の信仰に取り入った魔の気配に気づく。魔に取りつかれ、教祖を裏から操る男こそ、求める敵のひとりだった。

ありがちなお話だが、人と魔、男と女どちらともつかぬ呪いに縛られる主人公を演じる立花明依の着流しの男っぷりがいい。というか、劇団随一の色香ある男を演じられる彼女あってこその企画。残り4人を探すシリーズ続編は未定だろうが、いきなり大構想をぶち上げる末満のはったりに感心しきり。殺陣シーンが劇場の狭さゆえ窮屈に見えるのが惜しい。

「通天閣バトルロワイヤル」は、「じゃりん子チエ」「ドラゴンボール」「AKIRA」の賑やかなミックス版。破壊された未来の大阪にやって来た少年が、大阪一を決める今回の戦いに参加すべく通天閣を目指す。が、廃墟と化した梅田で道に迷い、環状線にすら容易に乗り込めない。数々の試練を潜り抜け双六の上がりのように、ようやくたどり着いた通天閣の決勝戦。待っていた大阪の支配者・新世界九大天王と彼の因果関係とは。

ロードムービーのようなスピィーディな展開。かつての名所(たとえばHEPの観覧車)を廃墟のシンボルに仕立てる地元ネタが満載で笑える。登場するキャラは誰もが大仰で馬鹿馬鹿しい。が、まったくストーリーに関係なく次々コスプレ着替えしてはこっそり現れる立花が、ここでも場をさらっている。

そして締めを飾るにふさわしい「リオ・フォレストの柩」。女性キャストのみが全編音楽に合わせた激しいダンスでつなぐ。中身は「不思議の国のアリス」を悪夢化した耽美なミステリ。記憶をなくしたアリ=ス(池田澄江)がたどり着いたリオ・フォレスト、そこは死と生のはざまの森。彼女が目にするのは、死んでは再び蘇る死の儀式を繰り返すラビリオ(丹下真寿美)、そして常に5人1組のセットで登場する少女たち(橋爪未萠里、西国原菜々、米山真理、中野裕貴、大重藍)と彼女らが憎む美少女スウ(Sun!!)。

しだいに明かされる森=リオ・フォレストの謎(リオの作り出した迷宮=ラビリンス)。アリ=スを招待したのはラビリオで、彼とスウは恋人の仲、それに嫉妬した少女たちとスウの対立。彼女たちはスウを追いつめ、屋上から飛び降りるよう仕向ける。少女の遊びは、イジメなど軽々と越え、死すらも招く。

アリ=スもまたラビリオを独占すべく彼を殺してしまう。ラビリオは自分を殺した償いに、今はまだ生と死の境にいるスウの生還を手助けするようアリ=スに求める。アリ=スの贖罪の戦いが、今始まる。

乱舞する女性キャストが美しい。鍛えられた腹筋は凛々しく、のびやかな手足は自在に舞う。乙女は可愛いだけではなく、鋼の愛を秘めたしたたかな存在でもあるのだ。

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