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自分を笑い飛ばす勇気 西尾雅
石器時代なるアナクロな劇団名がアナログで懐かしい。本当はつらい現実を、ほのぼの笑いとしみじみペーソスにくるむ志に拍手。ベタでお間抜けな自分を省みず、一矢報いんとする関西風イチビリがたまらん魅力。

どの町でも見るありふれた神社境内。裏山に続く階段をランニングする補欠野球部員(玉垣)、宮司のペットである鳥を逃がし怒られる見習い巫女(川辺)。とりわけ才能に恵まれているわけでない平凡な2人に、生きるつらさと喜びを共感する。

奇跡を起こし願いを叶える。超常現象の裏ではそれを盛り上げる黒衣がいる。たとえば筋書きのない野球ドラマを演出、蝶が飛び、そよ風吹いてカップルの会話をはずませるのも実は彼らの仕業。そんな心温まる設定に基づくおとぎ話。が、ここ地方の氏神様担当は人間以上にお間抜けで、効果を上げるどころか事態を複雑にし混乱を拡大する。不完全な人と黒衣が巻き起こす悲喜劇を、ヒューマンでペーソスあふれるコメディに仕上げる。客席V字に突き出す境内の美術(柴田隆弘)や的確な客演(GiantGrammy看板の川辺のコメディエンヌぶりや補欠部員から片思い、自分はキャプテンに片思いのマネージャー役梅本のズッコケがとりわけ絶品)がリアリティと笑いを生む。

失敗続きで上司に咎められる3人の黒衣(緒方、中井、アサダ)も私たちの同類。才能恵まれずとも黒衣のキャリアアップを目指し、さまざまなシチュエーションを考案、脚本公募に応えるも毎回落選。黒衣の悲哀が小劇場役者の現実や私たちの日常に重なる。挫折続いても夢を忘れず挑戦し続ける彼らの勇気に観客は笑い、泣く。自分の映し絵を笑い飛ばす。それが元気の源なのかもしれない。

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