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小粒のメセナ?個人の趣味?アートを支える多層なアクターに突撃


#2:エコールCP×稲垣智子


T−
つくり、伝えることの喜びへの共感があったということですね。学生の方々にも先生の熱意は、きっと伝わっておられるのでしょうね。

K−
学生達にはね、お菓子つくりに携わる心構えをいつも話しています。1つには好き嫌いなく何でも食べること、2つには健康であることです。喰わず嫌いのある料理人の味覚の幅はどうしても狭くなるでしょうし、ちゃんと自分の状態を管理しなければ味もわかりませんよね。
柔らかく優しいイメージのあるパティシエという職業ですが、実際は厳しい環境なんですよ。
もちろん私も、若い頃は人間関係が煩わしく感じたりなどして、仕事を辞めようと何回も思いました。でも、やっぱり最終的にはお菓子をつくることが楽しく、嬉しいので続けてきましたね。
今は、人という感情をもったなま物に対面する仕事ですから、お菓子だけを扱っていた時よりも、ずっと大変です。ひとりでも多くの学生が社会に出て、楽しそうに働いてくれる姿が、やりがいとなっていますね。

T−
お菓子好きの私としては、先生の意志を継ぐ素敵なパティシエがご活躍されることがとても楽しみです。


−おまけ−
前回よりも、ハッキリとアーティストと企業としてのそれぞれの立場で関わったお二人でした。両氏の考え方に違いは多くあるのですが、自分も含めた人の「幸せ」を膨らませていきたいとの想いには、とても似た部分があるように感じます。また、北村さんの言う「何を食べ、何を食べてもらうのか」=「価値観」は、そのまま稲垣さんの「美術を続ける」=「一票を投じること」という考えにあてはまるのではないでしょうか。
ところで、メセナの際に企業の方がよく言われることですが、企業側が「yes」と言いやすい状況を設定することは、アートと企業の協力をすすめるためには欠かせない努力です。稲垣さんが北村さんに見せたという提案書は、思いがとてもクリアに伝わる文章と、図面で構成され、とても丁寧につくられていました。説明に行く時は、展覧会の担当者と必ず一緒に行くというのも、イギリスで鍛えられたと言うプレゼン能力を、彼女が十分に発揮する準備だといえます。ただ、実際に協力を取り付けてから、信頼関係を築くことができるかは、当人同士の姿勢にかかっているということが、今回の両氏のコメントからひしひしと伝わってきました。つたない文章ですが、そのことがみなさんにも少しでもお伝えできてることを願っています。



−info−
○稲垣さんの個展が行われます。是非足をお運びください。

「三番目の娘 - the third daughter -」

09/29(水)-10/08(日)

場所/ギャラリーメゾン・ダール( http://www.maison-web.org/exhi.html
時間/12:00-19:00(日曜日は18:00、最終日は17:00まで)
休廊/月曜日・火曜日
住所/〒550-0004 大阪市西区靭本町1・16・19メゾン・ダール2F
TEL&FAX/06-6449-7773

○1room
http://1room.org
5月より始まった、辻が企画運営を担当するコミュニティースペース「1room」も、ようやく8月より本格始動を開始しました。
事務局では、下記の3事業を展開しています。特に、情報センター事業では8月初旬より 社団法人企業メセナ協議会の相談窓口を開始しました。
助成認定制度への申し込み用紙や助成情報チラシ等を常時設置し、メセナ協議会への相談の取次ぎにも応対しています。本コンテンツを通じて得た出会いや学びをいかしつつ、企業とアートの協力関係を支援していければと考えています。

-1roomの3つの事業-
1、情報センター事業…芸術文化の情報に気軽にアクセスできる環境づくり
2、アートサポート事業…人、場所、ネットワーク面での芸術環境整備の支援
3、多分野・多世代交流事業…街のにぎわいや多様な人の交流を生むような、アートを媒介とした情報交換の機会提供



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