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小粒のメセナ?個人の趣味?アートを支える多層なアクターに突撃
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+ 辻 牧子
株式会社プラネットワーク勤務/神戸アートビレッジセンター1階にあるコミュニティースペース「1room」を企画運営奮闘中


#2:エコールCP×稲垣智子

○はじめに

本コンテンツでは企業とアーティストにインタビューを行い、あまり人目につかない層での、協賛・協力関係にある双方のゆるやかなつながりをレポートさせていただく。タイトルのマイクロロジー(「つぶさにものをみる、微視的観察」を意味する英語)的精神で、個別のインタビューを通してさまざまなすきまに入り込み、社会の中のアートの日常的風景を切り取ることができればと思っている。

さて今回は、国内外で作品を精力的に発表しているアーティストの稲垣智子さんと、神戸国際調理製菓専門学校(以下「エコールCP」)の教授として、フード業界の花「パティシエ」を育てている北村佳裕さんにお話を伺った。※1
お二人の出会いは、稲垣さんが2002年に参加した「神戸アートアニュアル2002『ミルフィーユ』展」(以下「アニュアル」)※2に、デコレーションケーキ等を使用するインスタレーションを出展したいと考えたことがきっかけ。そこで、お菓子作りのプロフェッショナルを探したところ北村さんに辿りついた。
実は、私はこの展覧会にアートマネジメントのインターンとして関わっていた。だからなぜ彼女が北村さんの技術協力を必要としていたかは知っていたが、どのようにして協力を取り付けるまでに到ったのかについては詳しくは知らなかった。もちろん、なぜ北村さんがこの協力を決めたのかも。
近作で、ますます企業協力を得ている稲垣さんだけに、改めてその時の話しを伺いたいと思った。


※1
今回の取材先は専門学校であり、「学校は企業ではない」と思われる方もいるかもしれない。
しかし、本文中でエコールCPの北村さんがおっしゃるように、一般の大学以上に生徒数が学校の経営とダイレクトに繋がっていることの多い専門学校は、経営面で「企業」としての強みを活かしてきたといえるだろう。
全ての「学校」で独立採算性が強く求められる昨今、「生徒=顧客」であり「顧客の満足」は学校経営の重要な課題だ。多くの大学、学校が経営コンサルタントの力を借りている例は後を絶たないし、学校も企業としての一面を高めているといえる。

※2
会場、主催:神戸アートビレッジセンター

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