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第2回おおさかシネマフェスティバル開催決定!詳細情報はこちらから!


第2回 おおさかシネマフェスティバル

■作品解説

3月16日(金)
■織田作之助没後60年記念 織田作之助原作特集
「夫婦善哉」を書いた大阪生まれの作家、オダサクこと織田作之助。庶民の喜怒哀楽を描いた名手が亡くなって60年。織田作之助の世界は、数々の原作が映画となり、今なお映画化が熱望されている。没後60周年の今年、オダサク原作の秀作に光をあて、さらに33歳で生き急いだ「可能性の文学」を映像の中に探り、親しかった人々が集い織田の素顔を語り合う!

『還って来た男』12:20〜
1944年/松竹大船/67分/白黒 
監督:川島雄三/原作・脚本:織田作之助/製作:マキノ正博/撮影:斎藤毅/音楽:大澤寿人
出演:佐野周二、笠智衆、田中絹代、吉川満子、小堀誠、三浦光子、日守新一、山路義人、坂本武
◎織田作之助が自作小説「清楚」「木の都」を自らシナリオ化した、盟友・川島雄三の監督デビュー作。戦争末期の困難な製作条件にもかかわらず、スピーディな川島風と、オダサクの大阪への愛惜が出会い「日本軽佻派」宣言になった記念碑的作品。
 

 
『船場の娘より 忘れじの人』15:30〜
1955年/東京映画/105分/白黒
監督:杉江敏男/原作:織田作之助/脚色:若尾徳平/撮影:完倉泰一/音楽:団伊玖磨 
出演:岸恵子、安西郷子、花井蘭子、浪花千栄子、御橋公、平井岐代子、見明凡太朗、山内明、加藤春哉
◎戦後一躍流行作家となった織田作之助の「船場の娘」の映画化。道頓堀、中座、太左衛門橋、三味線芸者など、オダサク好みをふんだんに盛り込みながら、船場の大問屋のとう(お嬢)さんの悲恋を描く。ラジオドラマ化された時は溝口健二が演出している。

 

 
『螢火』18:00〜
1958年/歌舞伎座映画/122分/白黒
監督:五所平之助/原作:織田作之助/脚色:八住利雄/撮影:宮島義勇/音楽:芥川也寸志
出演:淡島千景、伴淳三郎、森美樹、若尾文子、三好栄子、水原真知子、須賀不二夫、沢村貞子
◎織田作之助の「蛍」を、名匠・五所平之助がメガホンをとった時代劇。坂本龍馬が隠れた伏見の寺田屋を舞台に、龍馬と女将の淡い恋心を描く。幕末を宿の女将の眼から描いたオダサクと五所の庶民的視点が、見事に結実した秀作。淡島千景の代表作でもある。
 

 
織田作之助(おだ・さくのすけ)
1913年10月26日、大阪市南区生玉前町(現天王寺区)生まれ。大阪庶民の生活を描き、今なおオダサクの愛称で親しまれている作家。太宰治、坂口安吾、石川淳とともに新戯作派、無頼派と呼ばれ、映画監督の川島雄三とともに日本軽佻派を結成。代表作に小説「夫婦善哉」「世相」「土曜夫人」、評論「可能性の文学」など。現在、大阪文学振興会により「織田作之助賞」が主催されている。1947年1月10日、わずか33歳で死去。今年、没後60年を迎えた。




3月17日(土)
■溝口健二没後50年記念 溝口健二作品特別上映

世界の映画史に輝く巨匠・溝口健二が逝去して50年(1898〜1956年)。小津安二郎、黒澤明とともに日本が生んだ最も偉大な映画監督。戦前の貴重な大阪を写し取った『朝日は輝く』、名作『浪華悲歌』から、『東京行進曲』『愛怨峽』と歴史的作品を特別上映。また溝口監督の助監督だった田中徳三監督などのトークショーも開催。日本が持つ固有の美意識を堪能する!

『朝日は輝く』11:20〜
1929年/大阪朝日新聞社=日活京都/25分/無声/白黒(部分)/東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
監督:溝口健二、伊奈精一/脚色:木村千疋男/撮影:横田達之
出演:中野英治、村田宏壽、沢蘭子、入江たか子
◎大阪朝日新聞社が創刊50周年記念として日活に製作を委託した宣伝映画。残存部分は公開時の約4分の1だが、船舶火災の海上取材、オートバイへの原稿受け渡しなどが活劇調で描かれ、また空撮で戦前の大阪の街が描かれるなど貴重な作品。

 

 
『浪華悲歌(エレジー)』 
1936年/第一映画/71分/白黒
原案・監督:溝口健二/脚色:依田義賢/撮影:三木稔/録音:加瀬久、水口保美
出演:山田五十鈴、梅村蓉子、志賀廼家辨慶、進藤英太郎、竹川誠一、原健作、志村喬
◎道頓堀の夜景から始まる大阪が舞台の溝口初期の代表作。本格的な大阪弁が初めて話された映画でもあり、1935年に新築開店したばかりのそごうデパートも登場するなど、大阪のモダニズムを描写。終生女性を描いた溝口の傑作であり、山田五十鈴の名演も光る。

 

 
『東京行進曲』14:00〜
1929年/日活太秦/22分/無声/白黒(部分)/東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
監督:溝口健二/原作:菊池寛/脚色:木村千疋男/撮影:松沢又男、横田達之
出演:夏川静江、一木礼二、高木永二、小杉勇、入江たか子、佐久間妙子、滝花久子
◎大都会へと変貌した東京。その片隅で、美しい芸者をめぐって父と子、親友との間で繰り広げられる愛と友情の葛藤劇。菊池寛の連載小説の映画化で、西條八十作詞、中山晋平作曲の主題歌とともに大ヒットを記録。現存するのは短縮版のみ。
 

 
『愛怨峽』
1937年/新興キネマ東京/89分/白黒/東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品
監督・脚色:溝口健二/原作:川口松太郎/脚色:依田義賢/撮影:三木稔/美術:水谷浩
出演:山路ふみ子、河津清三郎、清水將夫、三桝豊、明晴江、加藤精一、田中春男、浦辺条子
◎当時アイドル・スターだった山路ふみ子が主演し、自身の代表作ともなった傑作。トルストイの「復活」をもとに依田が独自の展開を書き加えて脚本化。『浪華悲歌』とは異なり、より積極的に自分の活路を見いだしていく女性を描いている。貴重な上映。

 

 
※『東京行進曲』『愛怨峽』について
両作品とも、極めて劣化や損傷の激しい16ミリフィルムを原版として大変な労力と時間をかけて復元した貴重な作品。その結果、原板からのキズやノイズ、揺れなどがかなり含まれていることをご了承ください。東京国立近代美術館フィルムセンター特別提供作品。

溝口健二(みぞぐち・けんじ)
1898年、東京生まれ。1923年に『愛に甦る日』で監督デビュー。関東大震災以後、京都を中心に活動を行い、『瀧の白糸』(32年)、『浪華悲歌』(36年)、『祇園の姉妹』(同年)などリアリズムに裏打ちされた傑作を次々と発表。52年の『西鶴一代女』以後、『雨月物語』『山椒大夫』と3年連続でヴェネチア映画祭受賞という偉業を成し遂げて、世界中にミゾグチの名を轟かす。1956年8月24日に死去。没後50年を迎え、現在各地で記念上映が開催されている。




3月18日(日)
■ベストテン受賞記念上映
『そうかもしれない』(主演男優賞受賞)11:40〜
2005年/「そうかもしれない」製作委員会/106分/カラー
監督:保坂延彦/原作:耕治人/脚本:保坂延彦/撮影:倉本和人/照明:淡路俊之/音楽:みつとみ俊郎
出演:桂春團治、雪村いづみ、阿藤快、下條アトム、夏木陽介、烏丸せつこ
◎老年の夫婦愛の極地を描いた耕治人の“命終三部作”を保坂延彦監督が映画化。作家である高山(春團治)が、自宅の縁側で妻のヨシ子(雪村)に散髪してもらっている静かな風景から映画は始まる。しかしある時から妻の様子がおかしくなる。認知症の症状が進んでいく妻。やさしく見守るしかない夫。夫婦の絆を描いた珠玉の一編。


 
  (C)2005「そうかもしれない」製作委員会
 
『武士の一分』(ベストテン第6位)15:50〜
2006年/松竹/121分/カラー
監督:山田洋次/原作:藤沢周平/脚本:山田洋次、平松恵美子、山本一郎/撮影:長沼六男/音楽:冨田勲
出演:木村拓哉、檀れい、笹野高史、緒形拳、桃井かおり、坂東三津五郎、小林稔侍、左時枝、大地康雄
◎山田洋次監督が、藤沢周平原作に三度挑んだ時代劇。海坂藩主の毒見役をつとめる下級武士の夫婦愛を描いた感動作。木村拓哉と檀れいが夫婦役を好演。人間の尊厳を守ることの大切さと、愛することとは何かを描き、大ヒットを記録した。
 

 
●未公開作品特別上映
『小津の秋』3月17日(土)17:00〜
2007年秋公開予定/「小津の秋」製作委員会/92分/カラー
監督:野村惠一/脚本:井上大輔、小笠原恭子、野村惠一/撮影:林健作/照明:山北一祝
出演:沢口靖子、藤村志保、栗塚旭、浜田晃、草野康太、山内明日、藤沢薫
◎新聞記者の明子が取材で訪れた蓼科で、ホテル支配人や無藝荘の管理人の女性に出会い、亡き父の過去を追うことになる……。無藝荘とは、巨匠・小津安二郎が仕事場として使った蓼科の別荘。深まる秋の蓼科高原を舞台に、登場人物の心のあやを丁寧に描いている。

 

 
『黒い春』3月18日(日)18:15〜
2007年/WOWOW製作/デジタル/113分/カラー
監督:大森一樹/原作:山田宗樹/脚本:西岡琢也/撮影:林淳一郎/音楽:栗山和樹
出演:高嶋政伸、牧瀬里穂、宮﨑将、水谷妃里、名取裕子
◎『嫌われ松子の一生』の山田宗樹のベストセラー小説を、大森一樹監督が映像化したWOWOWのハイビジョンドラマ。感染者は確実に死に至るという「黒手病」の犠牲者が全国各地で続出。愛する人たちを守りたいと、原因究明に挑んだ医師と家族によるヒューマンエンタテインメント。
※3月21日(水・祝)夜8:00〜WOWOWでの放送に先立つ特別先行上映。
 

 

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