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第2回おおさかシネマフェスティバル開催決定!詳細情報はこちらから!

+ 「映画の再発見シリーズ」
■主催/コミュニティシネマ大阪実行委員会・(財)大阪都市協会


文化庁優秀映画鑑賞会

文化庁優秀映画鑑賞会
[戦後60年企画]
二大巨匠が描く文芸映画の傑作!

上映のご案内
 
■スケジュール/2005年10月14日(金)〜10月16日(日)計3日
『青い山脈』 
1949年/監督・脚色:今井正/出演:原節子、木暮実千代、池部良/172分
『ぼんち』 
1960年/監督・脚本:市川崑/出演:市川雷蔵、京マチ子、中村鴈治郎/104分
『また逢う日まで』
1950年/監督:今井正/出演:岡田英次、久我美子、滝沢修/109分
『野火』
1959年/監督:市川崑/出演:船越英二、ミッキー・カーチス、星ひかる/104分


◎10月14日(金) 
開場時間 10:40
『青い山脈』 (上映時間172分)
[上映時間] 11:00(終14:00)
『ぼんち』 (上映時間104分)
[上映時間] 14:15(終16:00)
      
◎10月15日(土)
開場時間   10:00
『また逢う日まで』(上映時間109分)
[上映時間] 10:20(終12:10)
トークショー:川本三郎(評論家) 12:30(終13:20)
『青い山脈』 (上映時間172分)
[上映時間] 13:30(終16:30)

◎10月16日(日) 
開場時間        10:00
『ぼんち』 (上映時間104分)
[上映時間] 10:20(終12:04)
トークショー:武部好伸(映画評論家) 12:30(終13:20)
『野火』 (上映時間104分)
[上映時間] 13:30(終15:14)

■会場/天王寺公園映像館
(JR環状線・地下鉄御堂筋線・谷町線「天王寺駅」より5分、天王寺公園内)
■料金/前売:700円 当日:一般900円、学生・シニア(60歳以上)800円
◎チケットは1日券です。入れ替えはありません。
※ただし、天王寺公園に入園の際に、別途入園料150円が必要です。なお、中学生以下、65歳以上の方、また身障者手帳をお持ちの方は、入園無料です。
■お問い合わせ先/TEL 06(6261)3563
(財)大阪都市協会(担当:小林・渡辺)
■主催/おおさかシネマフェスティバル実行委員会、大阪市、(財)大阪都市協会、文化庁、東京国立近代美術館フィルムセンター
■協力/天王寺動植物公園事務所
■助成/(財)地域創造

■作品解説 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
『青い山脈』
1949年/藤本プロ=東宝/白黒/172分
監督・脚色:今井正 原作:石坂洋次郎 脚色:井出俊郎 撮影:中井朝一 美術:松山崇 音楽:服部良一
出演:原節子、杉葉子、木暮実千代、池部良、伊豆肇、竜崎一郎、若山セツ子、山本和子、三島雅夫、田中栄三、藤原釜足
戦後間もない時期に、その明朗な雰囲気で大ヒットし、主題歌として歌われた「青い山脈」と「恋のアマリリス」も歌謡史上で記憶されるものである。転校してきた女子学生をこらしめるため、いたずらで出したラブレターが思わぬ事件に発展し、封建的な因習が残る地方の小都市は大騒ぎになる。戦後民主主義の理念であった自由恋愛や、女性の自立・解放といった命題が、明朗で快活なユーモアのうちに描かれている。理想に燃える知的な女教師に原節子が扮し、俗物をきどる青年校医に思わず平手打ちを加える一方、女子生徒の杉葉子は海岸で健康で伸びやかな肢体を見せつつ、屈託なく男子学生に自分の恋愛感情を叫んでみせる。芸者に扮した木暮実千代も負けじとばかり地方ボスに反逆し、まさしく新時代の到来を告げるものであった。この原作は、最新作の『青い山脈’88』(1988)を含めて5回映画化されている。「キネマ旬報」ベストテン第2位。

『また逢う日まで』
1950年/東宝/白黒/109分
監督:今井正 脚本:水木洋子・八住利雄 撮影:中尾駿一郎 美術:河東安英 音楽:大木正夫 
出演:岡田英次、久我美子、滝沢修、河野秋武、風見章子、杉村春子、林孝一、芥川比呂志、大泉滉、近藤宏、南美江
原作は、ロマン・ロランの小説「ピエールとリュイス」であるが、その映画化を今井正監督に勧めたのは、主役を演じた岡田英次とのことである。脚本を担当したのは、当時注目されていた新進の水木洋子とベテランの八住利雄である。回想とナレーションを巧みに用いつつ、甘口のメロドラマにおちいりやすい題材を慎重に再構成し、ある青春の悲劇として見事に立体化してみせた。少女が描いた青年の肖像画に重なる彼の声。防空壕で偶然出会った青年と少女。そして、今も語り草になっている「ガラス越しの接吻」は、閉塞状況におかれた恋人たちの精神性を象徴するものであり、戦時下に青春を過ごした世代を超えて、今日でも十分納得できるものがあろう。また、演出にあたった今井監督の主人公たちをとらえる静かな視線が、この作品を声高な反戦映画ではなく、内面的な格調の高いものに仕上げている。「キネマ旬報」ベストテン第1位。

『野火』
1959年/大映東京/白黒/104分
監督:市川崑 原作:大岡昇平 脚本:和田夏十 撮影:小林節雄 美術:柴田篤二 音楽:芥川也寸志
出演:船越英二、滝沢修、ミッキー・カーチス、星ひかる、月田昌也、潮万太郎、石黒達也、稲葉義男、浜村純、伊達信
「俘虜記」や「レイテ戦記」など、戦後の戦争文学に大きな足跡を残した大岡昇平の同名小説を映画化したものである。戦争末期のレイテ島の戦場。食糧難のため部隊からも病院からも見捨てられた主人公。さまよううちに知り合った二人の敗残兵。その一人は猿の肉だと称して人肉をすすめる。それに気付いた時に自分も殺されそうになり、逆に相手を殺してしまう。映画化にあたって市川崑監督は次のように述べている。「大岡さんは原作の中で、大変大きなテーマとして神を登場させている。……映画ではむしろ神の問題を全部なくすことによって神を感じさせられる……だから原作では主人公が人肉を食うけれど、映画では食わない。……そこで人肉があまりに固いために歯がボロリと欠けるという具合に書き変えた。歯が欠ける、これが映画ではないだろうか」。ブラック・ユーモアを得意とし、才気煥発な監督ならではの弁である。「キネマ旬報」ベストテン第2位。

『ぼんち』
1960年/大映京都/カラー/104分
監督・脚本:市川崑 原作:山崎豊子 脚本:和田夏十 撮影:宮川一夫 美術:西岡善信 音楽:芥川也寸志
出演:市川雷蔵、京マチ子、若尾文子、越路吹雪、草笛光子、中村玉緒、山田五十鈴、船越英二、毛利菊枝、北林谷栄、中村鴈治郎
原作は、山崎豊子が「週刊新潮」に長期連載した小説であり、原作者が得意とする大阪の商人物の一編である。舞台は大阪の船場。四代続いた裕福な足袋問屋の一人息子が、女系家族の中で甘やかされ、それゆえに悪戦苦闘する様子が、多彩な女性関係を中心にして年代記風に描かれている。映画では、60歳近くになった主人公が、戦争による苦難をようやく乗り越え、お家の再建を計ろうとするにあたり、昔のあれこれを回想するという形式が採られている。そこに登場するのは、自分を溺愛した祖母や母のみならず、これまで関係した様々な女性たちである。彼女らを演じるのは、ベテラン、演技派、若手を問わない個性的で当時を代表する映画女優たちであり、その競演が一つの見所といえよう。また、主演の二枚目時代劇スター市川雷蔵は、市川監督の『炎上』(1958)で初めて現代劇に出演、その演技力が注目されたが、ここでは老け役に初挑戦している。

【トークショー講師略歴】
川本三郎(かわもと さぶろう)
1944年、東京生まれ。東京大学法学部卒。「週刊朝日」「朝日ジャーナル」編集部を経てフリーとなり、映画、文学、都市論を中心に評論活動を行なっている。著書に『シネマ裏通り』『ハリウッド神話学』『同時代を生きる「気分」』『都市の感受性』などがある。『大正幻影』で91年サントリー学芸賞受賞、『荷風と東京』で97年読売文学賞受賞。

武部好伸(たけべ よしのぶ)
1954年、大阪市生まれ。読売新聞大阪本社記者を経て、95年からエッセイストとして、映画・ケルト文化・洋酒をテーマに執筆活動を展開中。日本ペンクラブ会員。著書に『ウイスキーはアイリッシュ』『ケルト映画紀行』『シネマティーニ』『全部大阪の映画やねん』などがある。

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