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02 松山大学ダンス部!

私たちは松山大学を応援します!


 

 
Text: 森本アリ
インタビュー構成: 森本万紀子

「全日本高校・大学ダンスフェスティバル」という大会が、18年間、神戸文化ホールで行われている。「コンクール部門」と「参加発表部門」に分かれており、前者は予選・決戦を経て、選ばれた受賞校が最終日に大ホールでの特別プログラムに出演する。また、その模様は毎年NHKで記録/放映されている。

僕ら夫婦がこの催しに関心を持ち、観に行ったのが、2年前の第16回大会。元々は、楽しいダンス基礎知識の名著『西麻布ダンス教室』のリーダー桜井圭介氏が、大学ダンスが今「面白い!」と言っていたのを小耳に挟んだからだった。その時は、「参加発表部門」を高校・大学20作品ずつぐらい観た。衝撃だった。特に高校生部門のはつらつとした元気さには、作品のクオリティーに比例することなく、ダンサーの輝きに目頭を熱くさせられることもしばしば。小難しいコンポラに観客として矛盾を感じる事も多くて敬遠しだし、安全パイの海外からの話題作/大御所作品以外は、昔のミュージカル映画鑑賞が主なダンスとの関わりだった当時の僕には、ストレート超ど級だった。ここには頭を通過する前の動く喜びがある。もちろん玉石混合。ダサくて観られないものも、高校生がやると、喜びとにじみ出る人間性が、作品を「輝く青春の1ページ」な眩しい作品に変えてしまう。

そんな中で、松山大学ダンス部が参加発表部門に出品していた『end roll』という4分の作品には、時空に違う完成度(人間性・身体・振り付け・構成・音……、すべて)があり、個人的五感を刺激しまくられ号泣してしまった。去年の第17回大会では「コンクール部門」大学部門決選16作品を鑑賞。やはり、松山大学ダンス部『応答せよ!こちら自分』は群を抜き、さらなる号泣だった。松山大学ダンス部は、この『応答せよ!こちら自分』で特別賞(独創的な発想作品に与えられる賞)を、そして第16回大会コンクール部門出品作品『揺れる葦』でも特別賞(ユニークな発想に対して)を、2年連続受賞している。

今年は、この「dance+」の取材のこともあり、3日間通った。初めてコンクール/参加発表の両部門とも鑑賞し、大会の傾向が分かってきた。日本の6,70年代全盛の創作ダンス/モダンダンスの伝統が根強く生き続け、「コンクール部門」にはそれが色濃く反映され、「コンクール部門」で評価が難しい、ジャズダンス、ヒップ・ホップ、ファンクほか諸々の受け皿となっているのが「参加発表部門」だということ。真にコンテンポラリーなのは、松山大学ダンス部と同じ松山で隣接している愛媛大学ぐらいだということ。

で、やっぱり松山大学ダンス部。
 

 
今年のコンクール部門出品作品『サイトトレイン』。作られてない素の一人一人の自覚と自信が頼もしい。表情だけでも目頭が熱くなる。紐2本がいろんな場面を仕切り、比喩し、なおかつ抽象的なまま一本の軸をを作り、少人数〜28人の群舞(起こってる事全ては把握できない複雑さから一直線の美しい平面構成)まで、バリエーション豊かな構成美。ダンサー達が漏らすささやきのような歌声。動きもコンタクト、跳躍、フロアワーク……、他校のモダンダンスにはないボキャブラリーが豊富で飽きない、気持ちいい。空気にブラボー歌にブラボー紐にブラボー体にブラボーブラボーブラボー 

僕には大傑作の『サイトトレイン』は今年無冠。創作ダンス/モダンダンスを逸脱してしまっているからだろう。部員にとっては、この大会が「夏の甲子園」。彼らの発表の場はここと松山市内にほぼ限られている。やはりわびしい。

松山がコンテンポラリー・ダンスの土壌として面白いという声は聞かれる。松山大学ダンス部の定期公演が11月に松山であるのだけど、これ、全ダンスファン必見なのじゃないだろうか?

このwebマガジン「dance+」に関わる事になり、僕らがまず出した企画が「松山大学ダンス部」の取材+レポート。この企画で松山大学ダンス部員、監督、コーチらとも知り合うことが出来、ダンス部の過去現在未来にも触れ、この大会内の突然変異的なこのダンス部には「深い洞察と断固な意志」も伴ってることを知り、僕ら夫婦は声高に宣言。「私たちは松山大学ダンス部を応援します!」

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